ご示談


吉田郁子 大黒や
 その昔は、別院でごまんさんがあると夜明かししたそうです。ですから、うち(大黒そばや)の番頭さんは、戦後になってからもごまんさんになると夜明かしするといわれたもんですが、もうその頃は夜明かしするようなことはありませんでした。それでも一一時ぐらいまではそばを食べにくる人はいました。
 ごまんざでは、ご示談といって信者さんがお坊さんにいろいろと質問したり、お坊さんがそれに答えたりします。また、信者さんの中にもいやそうじゃないと言う人がいたりして、討論会みたいなものだったんです。この日だけは、お坊さんの話をありがたく聞くというより、日ごろ疑問に思っていることをお坊さんに聞くような行事のようでした。
 私は一度だけですが、一一時ごろまでご示談を聞いた事があります。あるおばあさんが言われたんです。「私とこの姑さんが、いみずがえりされた(生き返った)がです。そしたら、極楽へ行ったら、極楽はいいとこで、けっこうでけっこうでならんとこだったって言われるがやけど・・・」。ほんとのことやら、その人が夢に見たことやらわからないような話もありました。不審なことや気がかりなことを聞かれるがですけど、おばあちゃんたちにすれば、今でいうレクレーションのようなものでもあったんでしょうか。

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