大谷派門首が初めて療養所を訪問
4月19日 京都新聞
入所者に帰敬式
帰敬式で一列に並んだ入所者の頭に、かみそりをあてる大谷門首(19日、高松市・大島青松園内の本願寺佛教会館)
真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)の大谷暢顕門首が19日、ハンセン病元患者が暮らす国立療養所大島青松園(高松市)を訪れた。大谷派はかつて国の隔離政策に追従し、1996年謝罪声明を出したが、門首が療養所を訪問するのは初めて。入所者たちの帰敬式を行い、過去の宗門の取り組みが「過ち」だったとの認識を示した。
■ハンセン病で国の隔離政策追随 過ちだった
大谷門首は最初に外出が困難な5人の部屋に足を運び、仏門に帰依を誓う帰敬式を行った。療養所内の本願寺佛教会館内では10人の入所者が並び、1人ずつかみそりを頭にあて、法名を授与した。
法要後のあいさつでは「宗門が過去に国の隔離政策を支える過ちを犯し、その謝罪を縁として皆様方と出会い直したいという歴史がある」と語り、記念撮影の後は入所者と握手する場面もあった。
園内の真宗門徒でつくる真宗同朋会会長の森一男さん(69)も法名を受けた。「宗門が国に追随したのは時代的にやむを得なかったのかもしれない。御門首に直接法名をいただき、感慨深い」と笑顔で話していた。
国の隔離政策の中で、全国の療養所では仏教やキリスト教などの教団が拠点を置き、布教を続けた。大谷派は1931年、隔離政策に協力するため宗門内外から有力者を集めた「大谷派光明会」を設立し、「慰安教化」として隔離を受け入れるよう入所者たちに説く活動を展開した。
隔離政策を続けたらい予防法が廃止された1996年、大谷派は宗務総長が謝罪声明を出した。その後、元患者による国家賠償請求訴訟は宗門内の有志が支援した。帰敬式は、僧侶や門信徒でつくる「大谷派ハンセン病問題に関する懇談会」と四国教区が呼びかけ、声明から14年を経て実現した。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P20100419000167&genre=J1&area=K00
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