北京五輪における精神障害者・性感染症患者の入国禁止措置に反対する声明
14団体 593名の賛同がありました。
今後も、暫く賛同者を募り、24日の五輪閉会式までに、
再度、賛同者名簿を添えた形で声明文を送ります。
ハンセン病・精神障害・性感染症をめぐる差別の連鎖を断ち切るために!
6月2日に北京五輪組織委員会が発表した「五輪期間における外国人出入国・中国滞在期間に関する法律指針」には、「五輪開催期間中の入国が禁止される」外国人として「精神病・ハンセン病・性病・開放性肺結核の伝染病に罹患している」者が一律に挙げられておりました。これは、通常、「外国人出入国管理法」の「細則」にもとづき、定住と1年以上の長期滞在の希望者に対してなされていた措置を、オリンピック観戦の一般観光客にも適用するというもので、私たちはこれを読み、驚きを禁じえませんでした。「細則」はもちろんのこと、オリンピック期間中を対象にしたこのような「指針」は医学的根拠を欠くばかりではなく、これらの病者・障害者に対する恐怖感を煽り、差別を助長するものだからです。
そこで、6月11日、私たちは、こうした措置を撤回するよう求める「要望書」を中国大使館に送付するとともに、日本オリンピック委員会にも北京五輪組織委員会に撤回を求める「要望書」を送りました。さらに、6月19日に日本ハンセン病学会に、23日に北京五輪組織委員会・国際オリンピック委員会・国際ハンセン病学会・世界保健機構(WHO)に、6月24日には厚生労働省にも、それぞれ同様の「要望書」を送付しました。さらに、全国にも撤回を求める声は広まり、ハンセン病市民学会をはじめ、日本障害フォーラム・富山「精神障害者」問題を考える会・日本財団・民主党なども撤回の要望をおこなってくださり、その結果、7月15日に開かれた外務省審議官級の『第4回日中人権対話』でも撤回を拒否していた中国の態度が大きく変わり、7月23日、中国国家品質監督検査検疫総局は、7月20日付でハンセン病患者についてのみ入国禁止を撤回することにしたと発表しました。
私たちは、この発表を諒とはいたしますが、中国政府の発表には差別を助長するような指針を示したことへの謝罪の言葉がないこと、しかもハンセン病以外の病者・障害者へ入国禁止措置の撤回がないことの2点については到底、承服できかねます。しかし、世論はおおむね中国側の発表を歓迎し、その英断に感謝するという趣旨であり、この発表をもって問題は解決したかのごとき状況が生まれております。
これに対して、私たちは、7月31日、あらためて中国大使館に精神障害者と性感染症患者への入国禁止措置を撤回するよう要望いたしました。今、私たちがハンセン病患者への入国禁止措置の撤回をもって抗議の声を収めるならば、それは精神障害者や性感染症患者への差別を容認したことになります。差別の連鎖を断ち切り、共なる解放に向けた連鎖をつくり上げるため、私たちは、中国政府による精神障害者・性感染症患者への一律の入国禁止措置が大きな誤りであり、「細則」を含めて即座に撤回するべきであることを、広く訴えます。
2008年8月8日
ハンセン病問題ふるさとネットワーク富山
賛同者(団体・あいうえお順)
射水市民病院問題から安楽死=尊厳死を考える連続学習会(富山) NPO京都人権啓発センター・ネットからすま (京都) NPO法人・文福(富山) 浄土真宗本願寺派西大寺仏教婦人会(富山) 女性の人権を考える「クローバーの会」 生・労働・運動ネット(富山) 全国「精神病」者集団 全国ハンセン病療養所入所者協議会 同朋運動を続ける会 特定非営利法人・精神障害者フォーラム(青森) 富山県平和運動センター 富山「精神障害者」問題を考える会(富山) ハンセン病問題の全面解決を目指して共に歩む会(鹿児島) 部落解放にとりくむ富山県連絡会議(富山)
(以上、14団体)
(賛同者 593名)
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