中国、ハンセン病患者の入国禁止を撤回
2008年7月23日22時50分
ハンセン病患者の入国を禁じてきた中国政府が22日付で、この方針を撤回していたことが分かった。在外大使館に患者へのビザの発給を認めるよう通知したという。ハンセン病患者の入国禁止は今年6月、北京五輪組織委員会が外国人向けの「法律指南」の中で公表。これに対し、日本の市民団体などが「無理解に基づく差別だ」と批判していた。
駐日中国大使館領事部によると、22日、日本を含む在外大使館に対し、ハンセン病患者へのビザ発給を認めると本国から連絡があった。「五輪期間中に限らず、恒久的な対応だ」としている。
五輪組織委の「法律指南」は、五輪期間中に入国できない外国人として、テロ行為や麻薬密売の恐れのある者と並んでハンセン病患者を挙げた。中国政府が以前から「外国人入境出境管理法」に基づく実施細則で入国禁止にしてきたことに合わせた対応だったという。
それまで中国外には周知されていなかった規制が公表されたことで日本の市民団体などによる抗議が相次いだ。富山市の「ハンセン病問題ふるさとネットワーク富山」は6月11日に中国大使館へ文書で抗議し撤回を求めた。世界各国でハンセン病医療を支援してきた日本財団の笹川陽平会長も同月19日、胡錦濤(フー・チンタオ)・国家主席らに抗議文を送付。今月7日には、元患者や研究者らでつくるハンセン病市民学会(事務局・熊本市)も同じ趣旨の要望書を中国大使館に送ったことを明らかにした。
ハンセン病は発症力が非常に弱く、万一感染したとしても短期の服薬で治る。国連人権理事会も6月、ハンセン病の患者や元患者、その家族らに対する差別の撤廃を求めるハンセン病差別撤廃決議を全会一致で採択したばかりで、中国も決議案の共同提案国の一つだった。(本山秀樹)
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