「子煩悩」

娘の卒業文集に載せる原稿です
題名 「子煩悩」
 先日、修学旅行のために車で娘を送りました。いつものように、なにげない会話を交わし、空港で別れたのですが、帰り道、旅立った我が子が心配でたまらなくなってしまいました。自分のなかに「子煩悩」な面があることを、改めて自覚しました。
 子煩悩という言葉は、主に父親に使われる形容詞です。「煩悩」は仏教用語で、身を煩わせ、心を悩ませると書きます。憎しみ、欲望、愚痴の心が三大煩悩ですから、子を煩悩と言うのはどうかと思いますが、元来、子をかわいがりすぎて周りが見えなくなっていると、父親を揶揄する言葉だったのでしょう。最近は子を大切にするという、よい意味としても使われます。
 これまでの子育てを振り返ると、さまざまな思い出がよみがえります。家族で共に喜び、悩み、悲しんできました。学校、社会、家庭を通して、我が子も徐々にひとりの大人として成長していきます。中学卒業はその過程であり、親子の関係は刻々と変化していきます。けれど、一生、親子であることには変わりありません。
 これからもうれしいこと、悲しいこと、様々なことが起こるでしょう。そのたびに、苦楽を共にしていきたい。この世に親子として生まれてきた縁を大切にして、「子煩悩」な親として明るく楽しくつきあっていきたい。
 卒業を期に、このように、考えています。

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