通信24号

2004.1 賀正 第24号

賀春

私を見てくださる人があり

私を照らしてくださる人があるので

私はくじけず今日を歩く

道徳はいくつになるぞ 道徳、念仏もうさるべし」

この言葉は、京都の勘修寺村に住む道徳が、明応二年(一四九三)の元旦、修正会にお参りし蓮如上人に挨拶をした時に語られたもので、上人が七十九才、道徳は七十四才であったといわれる。

「念仏もうす」とは自分の都合を仏にお願いすることではない。仏を念ずることを通して、自分の生き方を見つめ直すことである。そのことは長い間、上人の教えを聞き続けわかっている道徳に、年の初めに当って改めて念仏を勧めておいでになることに深い意味を感じる。

ある先輩が「おそらく道徳は修正会にやってきた。それがややもすると儀礼化してしまう。それに対して上人の言葉は、いくつになっても忘れてならない原点が念仏であるということだ。念仏を離れたなら、忙しさに追われて、自分の生き方を問うこともない姿が、見据えられているのだ」と語ってくれた。

 古稀を迎えた私、「明けましておめでとう」と新年の挨拶を交わす言葉が、つい儀礼化してしまう。そんな私にとって「念仏もうさるべし」と上人の言葉が厳しく聞こえてくる。

   住職便り

  • 明けましておめでとうございます。昨年は大変お世話になりありがとうございました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。私も今年七十才、古稀を迎えました。実母は四十六才、実父は五十四才で還浄していますので、今更ながら自分の歳の重みと、蓮如上人が「ただいたずらにあかし、いたずらにくらして、年月をおくるばかりなり。これまことになげきてもなおかなしむべし。」と申してくださっている言葉をありがたくいただきました。
  • 二十一世紀は平和な時代であってほしいと願って迎えましたが、この三年間は暗いことばかりでした。昨年の暮れにはついに自衛隊のイラクへの派遣が決まりました。イラク復興支援に行くので戦争に派遣したのではないといわれていますが、どうなるのか心配です。「世のなか安穏なれ、仏法ひろまれ」と念じながら戦乱の時代を生きられたのが親鸞聖人でした。
  • 昨年の十一月二十一日より二十八日まで、真宗本廟・東本願寺で宗祖親鸞聖人に遇う「報恩講」が勤まり、御満座には今までにない一万二千人もの参詣者で両堂があふれるなか勤修されました。これはあと七年後に迎える親鸞聖人七五〇回御遠忌法要・特別記念事業の両堂御修復がいよいよ始まり、今の御影堂で報恩講が勤まるのが最後になったからと思われます。私も坊守と二十八日の御満座と翌日勤修された親鸞聖人御真影動座式に参列しました。御影堂も阿弥陀堂も境内も参列者で埋め尽くされ感動しました。
  • この報恩講に先立ち、御内陣の仏具を磨く「真宗本廟おみがき奉仕団」が十月四日から二泊三日、同朋会館で行われました。玉永寺から古西一男さん(清水堂)が参加してくださり、班長や感話などをされ閉講式には参加者を代表して記念品を受けに出てくださいました。「参加して勉強になりました。一人でも参加ができる、春の法要奉仕団、お煤払奉仕団、御旧跡奉仕団などに、玉永寺から積極的に呼びかけてください。私もまた参加しますから」と力強い言葉をいただきました。古西さんご苦労様でした。
  • 玉永寺本堂御内陣の床張替えが完成しました。またこの機会に本堂上壇彫物が入りました。富山市和合の越由松さん夫妻が、両親の五十回忌法要記念にご配慮されたものです。だんだんと本堂も浄土荘厳の形を整えてくることが嬉しいことです。
  • 十二月六日、玉永寺子供会が町内の老人クラブの皆さんとともに「二〇〇三年さようならとありがとうの集い」を催しました。子供たちのピアノ、ゲーム、老人クラブからの紙芝居、そして金沢から北村満さんの「宅配プラネタリウム」を皆で楽しみ、PTAの皆さんが作ってくださった食事をして楽しい一日を過ごしました。世代のつながりの場の大切さを感じました。
    ●寒さがやってきます。皆様、ご自愛くださいますことを、念じております。 合掌

玉永寺年中行事

修正会    一月一日

春の彼岸   三月二一日

永代祠堂経・前坊守二十三回忌

五月中旬

お盆暁天講座 八月十五日・十六日

秋の彼岸   九月二三日

佛教婦人会  十月二十日

報恩講      十月二十日・二一日

ご満さん    十一月二八日

玉永寺同朋の会 毎月二八日

玉永寺子供会  毎月第二土曜日

春の玉永寺旅行会にぜひ!

御門徒の親睦を深め、豊かな人生を歩む語り合いの場としたいという願いから、玉永寺旅行会を立ち上げました。
その第一回の旅行の日程が下記のように決まりました。会員の方はもちろんのこと、ご縁のある方のご参加を募ります。

一、期日 平成一六年四月一日~二日(一泊二日)

一、行先 東本願寺春の音楽法要参拝 御影堂修復工事見学  琵琶湖周辺遊覧

宿泊 びわこ湖畔ホテル

一、会費 三万四千円 参加人数により変更することがあります

参加申し込み 平成十六年一月末まで 地区委員、または玉永寺へ

念仏の声響く

昨年の十一月二十九日、宗祖親鸞聖人の御真影を御影堂から阿弥陀堂にお移しする「御真影動座式」が勤められた。

北は北海道、南は鹿児島、遠くはブラジルから約八千人の同朋が集まり、正信偈唱和とお念仏の声が響き渡るなか、御真影は阿弥陀堂に御安置された。

思えば、この御真影を仰ぎ見ながら幾多の人々が聖人に語りかけ、教えをいただき、苦悩に満ちた人生を力強く生きてきたことか。その歴史の重みを感じる。

ハワイから来られたクラディス・サカタさんが、「聖人の教えはすばらしい」と言いつつ、若くして癌で亡くなった甥のご縁で門徒となり、「今日、私がここにいるのも聖人がおいでくださったからです」と語る言葉が、同朋の念仏の声と共に真宗本廟に響き渡った。

やがて迎える宗祖七五〇回御遠忌、一人一人が現に生き、真実を説き続けてくださる親鸞聖人に遇う歩みとしたい.

発行:富山市水橋小出52 玉永寺    編集:石川正穂

2004.1